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ご依頼物件実況中継

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ご協力して頂いたお客様/関さん

ご依頼物件実況中継の見所

実況中継その1・・・「設計は、このように進められプランが練りこまれる」

実況中継その2・・・「最終プランで予算が大幅オーバー!!予算調整はどうする!?」

実況中継その3・・・「アメリカでは当たり前の原価明示法による見積り提示、お施主さんにもこんなメリットが!」

実況中継その4・・・「解体工事費の予算交渉で施主様パワー炸裂!プロもビックリ仰天!!」




予め目ぼしい土地を見つけてからのご依頼でした(※1う~んっ、かしこい!)。
当初の家づくりのご予算は1400万円(税込み)で、予算内で建てられれば土地購入も検討するとのことでしたので責任重大!

最終的には、1450万円(税込み)でのご契約ですが、これは、最終プランのボリュームが増えたことと(第一提案プランの住宅総工費は1405万円)、土地購入にあたり※2不動産屋さんとの値引き交渉がうまく行ったことによります。

現時点では、古家の解体工事、地盤調査も終り建築確認申請が進行中。

※1なぜ予め目ぼしい土地を見つけてからの依頼が、賢いのか?
ご依頼を受けると、ある程度その土地の法規制を調べてからプランと見積りの作成をします。自然風の活用や採光等、基本的な事柄もプランに反映しますので、土地購入をする前にどれ位の規模で、どんなプランの建物が、いくらの金額で出来るか把握することが出来ることになります。

 ※2不動産屋さんとの値引き交渉について
土地によって値引き額の増減はありますが、値引きの話を持ち出せばいくらかは値引きしてくれると思ってもいいようです。私も17年ほど前に土地を購入しましたがその当時で150万円ほど値引きしてもらえました。今回のお施主様もそれに負けないくらいの値引き交渉に成功しています。もちろん交渉ですから、値引き額は交渉の仕方にもよります。 

ご契約プランのお値段
建物タイプ/無垢の木の家
1階 18.75坪/2階 13.125坪/建坪 31.875坪/+ロフト 4.5坪
住宅総工費1450万円(IHクッキングヒーター、食洗機、エコキュート、
Low-eガラス等オプション代金含む、消費税込み)

標準仕様だった場合の住宅総工費1406万円(消費税込み)

住宅総工費以外に発生した別途工事費
古家建物解体費105万円/地盤改良工事費100万円

ご契約プラン/1階平面図 2階平面図 ロフト平面図 

実況中継その1「設計は、このように進められプランは練り込まれる」

某月某日、電話による問い合わせがあり、購入検討している土地があるとの事で、ラフプランと見積りを提出することになる。

土地は3方(南、北、東)が隣地に囲まれているが、南東側の一部が空けているのと、西側の眺望がマアマアでおもしろいプランが出来そう、プラン作成の基本情報となる敷地写真と設計調書をそろえ早速、プラン造りに取り掛かる。
敷地南側から北側に振り向いての撮影、南東側の一部が空けているのがわかる。突き当たりにみえるのは古家。
敷地西側に広がる眺望。撮影したのは曇りだったが、快晴であれば富士山が見えるらしい。

「第1プランの作成」

敷地は東西に細長いので、当然プランも東西に細長くなることになる。

間数にすると6間、ちょうど8畳間が横に3つ並んだ長さに。居間やダイニングは一続きとして広々感を演出したい所だが、奥が長すぎて真ん中になんとも間が抜けたような空間が出来てしまう。

そこで、東側は空けがあり朝日も差し込んで来ることが期待できることと、西は眺望が活かせることから、東ゾーン、西ゾーン分けて考えることに。設計調書からは、家事室的なスペースが欲しいことと、休日は家でくつろぎたいと言う要望が上がってきてたので、真ん中にタタミスペースを配置することで考えがまとまる。

「第1プランの完成、設計打ち合わせ1回目」

第1プランと見積りを持ち、お施主さんとの打ち合わせへ。

この時点での住宅総工費は、建坪31坪で1405万円(IHクッキングヒーター、食洗機、エコキュート等オプション代金含む、消費税込み)。

やはり、東西に細長いプランの為、真ん中にタタミスペースが配置されていることが気になるらしく、もっと居間とダイニング、キッチンをワンルーム化したいと言う要望が出される。

居間とダイニング、キッチンを一続きにすると、西側か東側に余剰空間が出来てしまうが、どうするかと言うことが話し合われ、西側眺望に重点を置いた間取り配置にすることで、話がまとまる。

「第2プランの作成」

1回目の設計打ち合わせを受け、少し気になるところではあるが、東側に浴室、洗面脱衣を配置。

※1この配置では、南東側で期待できる採光が活かせなくなるが、その埋め合わせとして、専用のパントリーをキッチンに付随させ、更に使い勝手を良くする為に勝手口を設置する。

西側には、第1プランより広めの居間を配置し屋根勾配を活かした吹き抜け空間とし、キッチンの方向も居間側に向け、広々感を演出するとともに、※2方向付けも西側、居間に統一する。


※1・・・修正プランでマイナス要因が発生すると、それを上回るプラス要因を探してプラン反映しよ
    うとします。ここでは、キッチンに付随する専用パントリーを設けたり、居間は屋根勾配を活
    かした吹き抜け空間として広々感を演出したりして、マイナス要因をプラスに転じる努力がさ
    れています。

※2プランづくりにおける方向付けとは何?

少し年配の方達にとっての綾小路君麻呂、あるいは、ある方達にとっては、浜崎あゆみ、福山雅治と言ったら分かり易いでしょうか。

例えば、この三方が仲良く揃って居るのが目に飛び込んできたら、ファンの方達の目は釘付けになります。これはつまり、目から脳に伝達された視覚情報によって気持ちが目に見えるほうに向いたということになります。

プランづくりにおいては、これと同じ状況を意図的につくってしまうわけです。

具体的には、そこに良い眺望があって、その景色が見える窓があれば、自然と視線はそちらのほうに向かい易くなります。更に窓のすぐ脇に薪ストーブがあったり、窓の外にはデッキが広がっていたりすれば、より強く視線がそちらのほうに向かい易くなるでしょう。

分かり易くする為に例えれば、居間の特定の場所に、綾小路君麻呂と浜崎あゆみと福山雅治が立っていたら、思わずそちらのほうを見てしまいますよね、この三方は、家づくりにおいては、開口部の位置であったり、デッキであったり、薪ストーブであったりするわけです。

プランづくりにおいて、このようなことを意図的にすることを方向付けをするとか、方向性を強めるとか言っています。

「第2プランの完成、設計打ち合わせ2回目」

第2プランを持ち2回目の設計打ち合わせへ。

建坪は第1プランよりやや大きめの32.14坪。

1回目の打合せ時に話し合われていたことではあるが、南東側採光が活かせないのをどうにかしたいと言うことで、色々とアイディアが出される。この日は、奥様のほうから、洗面脱衣と浴室を2階に配置して、その分1階の面積を少し縮めるという案が出され、この方向でプラン修正してみることになる。

「第3プランの作成」

2回目の設計打ち合わせを受け、第3プランの作成へ。

洗面脱衣と浴室を2階に配置し、1階の面積を縮めると、今まであったタタミスペース、タタミコーナーがうまく配置できないことが判明(新しいマイナス要因)。

このマイナス要因をプラスに転じる案はないか?と考えあぐね、東側の空きにパーゴラスペースを提案して、2階の個室の真ん中に、吹き抜けと絡めたロフトを配置し、遊び空間を演出して提案してみることにする。

「第3プランの完成、設計打ち合わせ3回目」

第3プランを持ち3回目の設計打ち合わせへ。

今回の建坪は32坪で、建坪的には前回までのプランと大差ないが、1階の面積が小さくなり、ほとんど総2階と言ってもいいプランに修正されたのが大きな特徴となっている。

限られた建坪で、1階に居間を配置してのプランでは、案が出尽くした感じがあり、
※1今度は、採光を優先して2階に居間を配置したプランを見てみたいと言う要望が出される。

※1・・・また新たなコンセプトでプランを作成できることは、設計者としてとても喜ばしいこと。人によ
    っては大変な仕事に映るかもしれないが、こういう時は設計魂がタギルものなのです!

「第4プランの作成」

3回目の打ち合わせで、新しいコンセプトプランがつくれることになり、ウキウキ気分でプラン作成。

今回は、いわゆる2階LDKプランとなるので、1階の地盤とどう関連性を持たせるのかが、腕の見せどころとなる。

どうするか頭をひねっていると、、、、ウ~ンッ。何かが降りてきちゃいました!

スキップフロアーならぬ、スキップデッキフロアーのアイディアが!!

どう言うことかというと、普通に2階居間にデッキを付けただけでは、1階地盤との関連性が途切れてしまいます。

そこで、2階デッキからスキップ階段で、中間層のデッキフロアーにアプローチし、ついでにそのフロアーには、見晴らし台かバーベキューフロアー(前回の打ち合わせ時に、ご主人がこれから親戚たちが集まり、バーベキューをする話をされていたので、バーベキューフロアーが活かされるかと思う)の機能を持たせ、1階のデッキフロアーにまで繋げると言う案です。

また、奥様がブランコをどこかに設置したい話もされていて、2階デッキは見晴らしが更によいことから、このフロアーはハンモックチェアーフロアーとすることで考えがまとまる。

「第4プランの完成、設計打ち合わせ4回目」

第4プランを持ち4回目の設計打ち合わせへ。

2階LDKプランのデメリットである、子供室との関係性の希薄さ(2階をLDKにして1階に子供室を配置した場合、子供が外から帰ってきてそのまま個室に行き2階に来なかったら、いつ帰ってきたのか分からないというデメリットがある)が話題にのぼり、お施主さんも設計者である私も次なる案を模索する。

1階から2階まで吹き抜けで繋げば、採光上も有利であることから、その方向で新しいプランをつくることに。

「第5プランの作成」

4回目の打ち合わせから、1階~2階までの吹き抜け案を採用することになり、プランの基本線を考えていると、お施主さんから連絡が入る。

色々と自分なりに考えてプランをつくってみたので、見てもらいたいとの事。

送られてきたFAXを見てみると、素人さんにしてはなかなかのいい間取り構成。

お施主さんのほうでは、分からない構造的なことを考えてあげれば、ほぼそのままの間取りでいけると判断し、※1お施主さん案で行くことにする。


※1
必ずしも、お施主さん案でいくとは限らないが、今回のお施主さんはバランス感覚に長け ていた事、それと専門的な情報量は設計士ほど持ち合わせていない中で、一生懸命自分 達の住まいの理想を具現化させようとする姿勢が、ヒシヒシと伝わってきたことによる。

お施主さんからFAXされて来た間取図。細かく書き込まれた字からも、一生懸命さが伝わってくる。

「第5プランの完成、設計打ち合わせ5回目」

第5プランでは、お施主さん案の基本線で行くことになったが、多少の手直しを加え提出されたプランは、満足した様子。その後も何回か打ち合わせが行われ、細かな修正が加えられ出来上がったのが、ご契約プランである。

「何回もの設計打ち合わせが消化され、最終的に決まったご契約プラン」

実況中継その1「設計は、このように進められプランが練りこまれる」終り、設計者のコメント

家づくりに際しては、様々な要望や希望、抱負があるものですが、それが依頼時に整理されていて、イメージまで固まっている例は稀です。

そのまとまりきらない様々な要望、希望を打ち合わせを消化しながら、まとめ上げていくのが設計者としての大切な仕事と言えます。

今回は、様々なパターンのプランが提案されるうちに

依頼者の家づくりに対する具体的イメージが少しづつ固まり、

ある時点で、自分でもプランが書けるまで成長した過程が見て取れます。

今回のパターンとは少し違うのですが、建物完成見学会に、お施主さんも出席されることが多く、その時お施主さん自から、見学来場者の相手をして下さるのですが、「この家は、私が設計したんですよ」という話がよく出ます。

これを設計者としてどう受け止めているかと言うと、設計打ち合わせがしっかり消化され、家づくりのプロセスを自分のものにされたと見ているのです。私の側から言えば、様々な要望や希望、抱負は、依頼者が自分で設計したと思って下さるくらいに、よくプラン反映されたと見て取ります。これは大変に喜ばしい出来事で、設計者冥利に尽きるというものです。

ここらでちよっと一息 / 裏方仕事その1「無垢板の桟積み風景」

1・自社工場に搬入された杉板。(杉板は、主に棚や造り付け家具の材料として使用される)
2・一枚づつ桟積み乾燥させるために、梱包されてきたバンドを切る。
3・乾燥させるために使う桟棒。
4・桟棒の厚みは15㎜くらい。
5・まず、一段目の板を敷き並べ。
6・所定の位置に桟を置くために、巻き尺を使い印をする。
7・巻き尺を使い、印を付けたところ。
8・桟棒を所定の位置に置いて行く。
9・丁寧に板の角を揃えながら
10・下の桟棒と位置を揃え、丁寧に一段一段積み上げて行く。
11・積み上げたら、板がバラケないようバンドで、
12・ぎゅーっと締める。
13・雨のかからない、風通しの良いところに置いて完了。

作業を担当した水島君

水島君、何か一言

僕は、木が好きで大工修行をしています。

自分がした仕事が、お客さんの家づくりで使われると思い、一つ一つ丁寧に、気持ちを込めて作業するようにしています。

そこに住むお客さんが、木の手ざわりを体感してくれたらうれしいです。

実況中継その2「最終プランで予算が大幅オーバー!予算調整はどうする!?」

プランが決まり、細かな見積りを入力してみたら、予想していた金額より大幅オーバーしてしまっているのが分かる。

私も予想外の金額にびっくりしてしまったが、お施主さんもびっくりしてしまい、二重にビックリすることに。

第1提案プランの時の見積りは、オプション代金込みで1406万円(消費税込み)であったが、最終プランでの見積もりは約1594万円(消費税込み)にまで膨れ上がってしまっていた。



最終プランでの単価アップ予測は、だいたい60万円前後だろうと見ていたのだが、、、、

単価アップ予測の根拠は、以下に基づいていた。

建坪的には、第1プラン~最終プランまで大差がなかったこと(ずっと32坪前後で推移)。

単価アップになる要素として最終プランでは、吹き抜けを採用したので、外壁面積と内装面積が増えたこと。

それに

吹き抜けで空間が広がったので木材を若干プラスで使う(キャットウォークの分)から、それらを合わせるとだいたい60万円前後だろうと見ていたのである。


結果的には予測60万円プラス128万円で、第1プランでの見積もり金額1406万円と比較すると、約188万円の単価アップになってしまった。


「どのように予算内に収めるのかの検討に入る」

予算調整をするには、工事費全体のどこの何が単価アップに繋がったのか見極めなければならないので、第1プランと最終プランの見積りを比較分析してみることから始めてみる。

第1プラン見積り内訳書

最終プラン見積り内訳書

「見積り内訳書比較分析結果」

1仮設工事プラス14637円、2足場工事プラス6388円、3基礎工事プラス17200円、4木工事プラス

82200円、5建材工事プラス491934、6屋根工事マイナス43690円、7板金工事マイナス25650円

8金属建具工事プラス829860円、9木製建具プラス64000円、10外壁工事プラス59966円、11左

工事プラス184232円
、12内装工事プラス19800円、13住宅設備工事プラス112824円、14電気工

プラスマイナス0円、15給排水工事プラス117000円、16畳工事マイナス18100円、17その他工事プ

ラス19164円、18クリーニング工事プラス4081円、19照明器具プラス78500円、20諸経費プラス

4797円


分析結果から、まず初めにやった事は、大きな単価アップに繋がった5建材工事と8金属建
具工事をさらに細かく分析してみることだ。

5建材工事については、構造材の単価アップが約20万円、造り付け棚等で約13万円。その他下地材や断熱材等で約16万円の単価アップをしていることが分かった。

8金属建具(アルミサッシ)については、単純にアルミサッシの本数が増えたことが大きな要因であることが判明(第1プランの時より10本増えていた)。



次に、この2工事(建材工事、金属建具)について予算調整をどうすか方針を決めなければならないが、5建材工事については、構造材の仕様変更をすることと、断熱材などの仕様を落とすのは好ましくないと判断して×、残りの造り付け棚等で予算調整することにする。


造り付け棚等の予算調整のやり方としては、生活するのにあれば便利だが、当面必要性が低いものはやめにして、プチセルフでやれるものは自分達でやってしまうことにする。、


A「造り付け棚等の予算調整具体案」

①壁の断熱材は自分で入れてしまう(マイナス6万円)。

②木箱、洗面脱衣棚、キッチン収納棚、手摺壁文庫本棚は自分で組み立ててしまう(マイナス6万 円)

③広間にあった飾り棚と階段下にあった家事台棚、収納室にあった床下収納はナシにする(マイナ ス122500円)


①~③までの予算調整額はマイナス242500円



B「金属建具の予算調整具体案」

①家具配置レイアウトでソファーが表示されている南側にあった引き違い窓2本を1本にする。

②書斎南側にあった引き違い窓はナシにする。

③北側と東側のオーニング窓9本はジャロジー窓に仕様変更し、9本のうち2本はナシにし、かつ窓 高 1100ミリを700ミリに統一する。

④個室と書斎の吹き抜け面に付いていた開き窓は片上げ下げ窓に仕様変更する。

①~④までの予算調整額はマイナス48万円



C「その他に採った予算調整具体案」

①壁の下塗り材である炭塗料(ヘルスコート)はプチセルフでやってしまう(マイナス8万円)。

②2階とロフトのクロス張り仕上げは、石膏ボード押し縁仕上げに仕様変更する(マイナス16万円)。

③ユニットバスから造り付け浴槽に仕様変更し、床、壁、天井は防水モルタル仕上げにする(マイ
 ナス7万円)。

①~③までの予算調整額はマイナス31万円



D「消費税5%の補正調整

予算調整をした金額には、消費税が抜かれているので、その分もコストダウンとしてカウント出来る。A~Cまでの合計金額1032500円×0.05で、マイナス51625円

消費税5%の補正調整分マイナス51625円



上記、A~Dまでの予算調整合計金額は、約108万円になったが、お施主さんの希望は1450万円以内で、出来るだけ第1プランの金額1406万円に近づけたいと言う希望なのでまだ少しコストダウンさせなければならない。

この時点では、最終プランの見積り1594万円-約108万円で1486万円にまでコストダウンしている。



残り36万円のコストダウンはどうするか、、、、、、


見積り詳細を一項目ずつチェックしても目ぼしい箇所は見つからない、、、、、、、、、、、、、、



やむなく腹を決めて、あら利(会社の利益)をケズリ削いでしまうことにする。

でやっちゃいました。あら利36万円をスパッと。腹決めたら、もう怖いものは何もありません。こうして、めでたく予算内に収めることに相成ったのです。


実況中継その2
「最終プランで予算が大幅オーバー!予算調整はどうする!?」終り、設計者のコメント

最終プランで見積り入力が終り、合計金額画面を確認したとき、お施主さんが青ざめるより先に担当した私の方が青ざめてしまいました。

金属建具(アルミサッシ)で予算が大幅オーバーしていたことは以外でしたし、その部分で仕様変更することで大幅なコストダウンが出来たこともまた以外でした。


お施主さんをびっくりさせてしまった事に対し、この場を借りてお詫びするとともに、貴重な勉強をさせて頂いたことに感謝致します。



実況中継その3
「アメリカでは当たり前の原価明示法による見積り提示、お施主さんにもこんなメリットが!」

住宅会社が、お施主さんに提出する見積り書には何種類かの形態があるのですが、ここで言う原価明示法と呼んでいるやり方で見積り提示された例を、見たことや聞いたことは今の所まだありません。

似たような呼び名で原価公開住宅というのがあるのですが、ここで言う原価明示法と同じ考えで見積り提示されているのかは不明です(もし同じだったらゴメンナサイ) 。


ここで言う原価明示法とは、

完全に原価と利益が別表示されている見積り形態のことを言います。

具体的には、基礎工事なら基礎工事業者に、屋根工事なら屋根工事業者に、金属建具ならアルミサッシを仕入れる仕入れ業者に、それぞれ実際に支払われる金額だけが明示されていて、それぞれの工種に利益が上乗せされていない金額明示法のことを言います。

原価明示法による見積り

上の見積り内訳は電気工事ですが、赤枠で囲った部分にご注目下さい。

予算金額と見積り金額の合計が一致しているのが分かるでしょうか?

予算金額とは原価のことで、見積り金額とはお施主さんに提示される金額ですから、それが同じ金額であるということは、この工種(電気工事)には利益が上乗せされていない事になります。

このような見積り提示形態を原価明示法による見積り提示と呼んでいます。

原価に利益を上乗せした見積り

上の見積り内訳は、原価明示法による見積りに利益を上乗せして表示したもので、予算金額(原価)にNo1~No21まで40%の利益が上乗せてあります(利益を何パーセント上乗せするかは住宅会社により違いますが、だいたい20%~50%の間です)。

この見積り提示は各住宅会社により最も多く採用されている見積り形態です

「原価明示法による見積りにはどんなメリットがあるのか?」

一番大きなメリットは、

お施主さんがコンセントの数を増やしたり、

窓の本数を増やしたり、

部屋の建具を一本追加したり、

家の外に流しを付けたり、

キッチンやトイレ浴室の仕様を変更したりした時、

原価金額が加算あるいは減算されるだけで、更に上乗せで利益を取られず済むということです。

原価明示法を採用する住宅会社も、別枠で利益としてはっきり明示してありますから余計な神経を使わずに済みます。


われわれの業界でも最近よく話題になる話があるのですが、それはこんなやり取りです。


「お客がさぁ~、インターネットでなんか調べちゃってユニットバスを施主支給でやりたいって言うんだよ」

とか

「某N鳥のキッチンを使いたいなんて言いだされちゃったよ」とか、

もちろんそんな言い回しですから、業者はその手の話に拒否感を示しています。

何故そんなにも拒否感を示すかと言うと、

ユニットバスやキッチンに会社の取り分である利益が乗せられているからなのです。

つまり、お施主さんに施主支給や某N鳥製キッチンを採用されたら取り分である利益が無くなってしまうので拒否感を示すわけです(当たり前)。


これが原価明示法による見積り形態が採用されていれば、建築業者も嫌な顔をせずにお施主さんの要望に応えることが可能になります。

「原価明示法による見積りにはデメリットはないのか?」

デメリットは無いと言いたいところですが、残念ながらあります。

上記で原価明示法はお施主さんと業者双方にメリットがあることを述べましたが、それは利益を原価とは別枠に明示することによりメリットが生じると言いました。


このメリットがデメリットにもなってしまうのです。

利益がはっきり分かるかたちで表示されますから、各住宅会社が原価にどれ位利益を乗せているのかの相場を知らない方は(知られないように原価に利益を上乗せするのが一般的ですから、相場を知らないのは当然です)、「この利益は取りすぎではないの?」という印象を持たれてしまう事もあるのです。

つまり、このやり方を採用する業者が「この利益は取りすぎではないの?」と誤解を受けるデメリットがあります。

しかし、お施主さんの側でそれを受け入れるだけの心の準備があれば、デメリットは無くなりメリットだけが残ります。

実況中継その3 「アメリカでは当たり前の原価明示法による見積り提示、お施主さんにもこんなメリットが!」 終り、設計者のコメント

実は、原価明示法による見積り提示は25年ほど前(1997年)に3物件ほどで試みられているのですが上記デメリットである誤解を受けてしまい中止した経緯があります。

その当時は、まだこのやり方が受け入れられる程には、機が熟していなかったのかも知れませんし、私も口下手でしたから(今も)メリットとデメリットの説明をちゃんとしなかったのがいけなかったのかも知れません。


今回ここで原価明示法による見積り提示をこのような形で紹介することが出来たのは、お施主さんが、このやり方のメリット、デメリットをよく理解して下さり、受け入れてもらえるだけの準備が整っていたことによります。。

また、これから家づくりを考えている方たちがこの見積り提示法を採用され、適正な価格で無理のない家づくりをされることを願ってやみません。

ここらでちよっと一息/ 裏方仕事その2「設計にまつわる作業あれこれ」

1・家の構造図面を作成しているところ。
2・入力画面
3・出来上がった構造図面を打ち出したところ。
4・平面図の柱位置に印を付ける。
5・平面図と構造図面を重ね合わせ、
6・柱、構造組の整合性チェック。
7・チェック完了、OK
一軒分の図面類を床に広げたところ。
総数30ページ分、圧巻

実況中継その4 「解体工事費の予算交渉で施主様パワー炸裂!プロもビックリ仰天!!」

土地の購入も済み、名義変更の手続きも完了し、いよいよ、古屋解体工事の段取りを始めなければならない時期が来る。


しかし、この時点では古屋がまだ建っているので地盤調査も出来ず、地盤補強工事の有無や補強工事が必要になった場合の金額が読み込めない。


後から地盤補強工事費が発生することも考えられるので、古屋解体工事費の予算は出来るだけコストを抑えて発注しておきたいところだ。



発注する予算金額をはじき出すために、付き合いのある解体業者数社と、インターネットで格安を売りにしている解体業者数社に、土地状況を説明し、いくらぐらい掛かるか打診してみる。

打診の結果、敷地がハタザオ状で奥まっていること、道路が狭く、解体材を搬出するトラックが道路付けできないことなどから、1坪あたり4万円強みとけば間違いないと見る。

古屋解体工事費・・・古屋35坪×4万円強で145万円みとけば間違いなしと見る


しかし、予算交渉するには、解体業者を困らせないギリギリの線を狙わなければならないので、予測される解体日数、必要人員数、使用する重機に掛かる費用、解体処分費用を読み込み予算120万円で打診してみることにする。


古屋解体工事費予算は、120万円で業者へ打診してみることに決定する。


お施主さんにも、解体費用に関する業者とのやり取りを話すと、知り合いに解体業をやっている方がいるので、そちらにも打診してみるとの事。


結果は何と105万円で引き受けて貰えたとの話でビックリ仰天してしまう。


無難な線でみていた予算145万円から40万円程コストダウンに成功している。この顛末は、予算交渉を担当するその道のプロより、安い予算で収めた話として、会社の中でもよく話題になるくらいである。


古屋解体工事費用は、お施主さんの奮闘により105万円で引き受けて貰えることに。



実況中継その4
「解体工事費の予算交渉で施主様パワー炸裂!プロもビックリ仰天!!」終り、設計者のコメント

予算金額の絞込みと予算交渉には、かなりのエネルギーが投入されます。


よく物事には相場があると言いますが、こと予算交渉においては「相場はあってないもの」という立場に身を置きます。



○ ○工事は、相場が○○だから、○○円でなければ出来ないという思い込みは厳禁で、○○工事に関してかかる人員数や、使われる材料の仕入れ額等々を読み込み総合的観点から予算金額ははじき出されます。

この仕事は、家の値段にそのまま反映されるますから、気を抜くことは出来ません。