住宅設計いろは教室
「住宅設計いろは教室」 建築基準法編
これだけは知っておきたい建築基準法の「あれこれ」
(1)これだけは知っておきたい用途地域のこと(建築基準法編)
用途地域とは、建築物の用途、種類(住宅、工場、学校、病院、飲食店等々)を部類分け、その地域に建てることが出来る建築物を制限する法律です。用途地域を大きく分けると「住居系地域」、「商業系地域」、「工業系地域」の3種類があり、細かく分けると「住居系地域7種類」、「商業系地域2種類」、「工業系地域3種類」の合計12種類の用途地域があります。住宅については、ほとんどの地域で建てることができますが、用途地域のなかの工業専用地域だけは住宅を建てることはできません。とは言っても商業系地域では様々な店舗が建っていますし、工業系地域では様々な工場が建っていますので、比較的、住宅を建てるのに好ましい環境と言えるのは住居系地域と言えるかもしれません。
コラム・住宅設計のプロが教える「用途地域」の実際
12種類の用途地域のうち、住宅を建てるのに比較的、適しているのは住居系地域の第1種低層住居専用地域といえるかも知れませんが、第一種低層住居専用地域には、北側斜線制限制限という建物の高さを制限する法律が適用されるためです(12種類の用途地域の中で一番厳しい高さ制限を課せられる)。北側斜線制限は、北側隣地のお宅の日照や採光が阻害するおそれを出来るだけ最小限に抑えることを目的にした法律ですが、実際には北側斜線制限が適用されても、北側のお宅の1階に採光が不十分(日が当たらない)ということはよくある話だと言えます。このような場合には、採光を得るために、家族があつまるパブリック空間(LDK)を2階にもっていったり、あるいは1階LDKプランの場合には1階から2階まで吹き抜けた、吹き抜け空間を南に配置して採光上有利になるよう考えたりします。
実際に住宅が建っている用途地域は住居系地域だけではなく、ほとんどの用途地域で住宅が建てられています。そう考えると住居系地域にこだわなくてもいいとも言えますが、一番注意したいのは、住んでいる家に日照が得られるか得られないか、ということではないでしょうか。この判断はなかなか難しいと思いますが、これから土地購入を考えている方は、次の点に留意され検討されるといいと思います。
・購入検討される土地を見にいったら、その土地のまわりに広い空き地、又はまとまった広さの畑などがないか確認する。もしそのような空き地、畑などがあれば、そこには将来アパートやあるいはマンションが建つ可能性があると念頭におく。また、まとまった広さの空き地、畑などがある方位も確認しておく。北側にあれば、将来マンション等が後から建ったとしても日照を遮られることはないし、西側でも、北よりの西であれば比較的、日照が遮られる心配はないと思っていいでしょう。しかし南や、南よりの東にそのような空き地がある場合には、将来的に日照を遮る建物が建つ可能性があります。
・用途地域に限らず、まとまった戸数が建っている中規模以上の住宅地であれば、日照、採光に関する読み込みが比較的たやすい。少なくても周りの住宅を壊して更地にし、後からアパートやマンションを建てるとは考え難い。ただし、南側に建物が建っている敷地を購入検討する時には、現在が2階建ての建物でも、建て替え時3階建ての建物を建てる可能性もあるので注意が必要。南側に建物が建っている敷地でも、用途地域が第1種低層住居専用地域なら用途地域の中で一番厳しい高さ制限(北側斜線制限)が課せられるので3階建ての建物を建てる可能性は低いと言えますが、第1種低層住居専用地域以外の用途地域の場合には、比較的簡単に3階建ての建物は建てられますので、そのような土地購入を検討される場合には、住宅建築を依頼する担当設計士に相談するとよいでしょう。
(1)これだけは知っておきたい用途地域のこと(建築基準法編)
用途地域とは、建築物の用途、種類(住宅、工場、学校、病院、飲食店等々)を部類分け、その地域に建てることが出来る建築物を制限する法律です。用途地域を大きく分けると「住居系地域」、「商業系地域」、「工業系地域」の3種類があり、細かく分けると「住居系地域7種類」、「商業系地域2種類」、「工業系地域3種類」の合計12種類の用途地域があります。住宅については、ほとんどの地域で建てることができますが、用途地域のなかの工業専用地域だけは住宅を建てることはできません。とは言っても商業系地域では様々な店舗が建っていますし、工業系地域では様々な工場が建っていますので、比較的、住宅を建てるのに好ましい環境と言えるのは住居系地域と言えるかもしれません。
コラム・住宅設計のプロが教える「用途地域」の実際
12種類の用途地域のうち、住宅を建てるのに比較的、適しているのは住居系地域の第1種低層住居専用地域といえるかも知れませんが、第一種低層住居専用地域には、北側斜線制限制限という建物の高さを制限する法律が適用されるためです(12種類の用途地域の中で一番厳しい高さ制限を課せられる)。北側斜線制限は、北側隣地のお宅の日照や採光が阻害するおそれを出来るだけ最小限に抑えることを目的にした法律ですが、実際には北側斜線制限が適用されても、北側のお宅の1階に採光が不十分(日が当たらない)ということはよくある話だと言えます。このような場合には、採光を得るために、家族があつまるパブリック空間(LDK)を2階にもっていったり、あるいは1階LDKプランの場合には1階から2階まで吹き抜けた、吹き抜け空間を南に配置して採光上有利になるよう考えたりします。
実際に住宅が建っている用途地域は住居系地域だけではなく、ほとんどの用途地域で住宅が建てられています。そう考えると住居系地域にこだわなくてもいいとも言えますが、一番注意したいのは、住んでいる家に日照が得られるか得られないか、ということではないでしょうか。この判断はなかなか難しいと思いますが、これから土地購入を考えている方は、次の点に留意され検討されるといいと思います。
・購入検討される土地を見にいったら、その土地のまわりに広い空き地、又はまとまった広さの畑などがないか確認する。もしそのような空き地、畑などがあれば、そこには将来アパートやあるいはマンションが建つ可能性があると念頭におく。また、まとまった広さの空き地、畑などがある方位も確認しておく。北側にあれば、将来マンション等が後から建ったとしても日照を遮られることはないし、西側でも、北よりの西であれば比較的、日照が遮られる心配はないと思っていいでしょう。しかし南や、南よりの東にそのような空き地がある場合には、将来的に日照を遮る建物が建つ可能性があります。
・用途地域に限らず、まとまった戸数が建っている中規模以上の住宅地であれば、日照、採光に関する読み込みが比較的たやすい。少なくても周りの住宅を壊して更地にし、後からアパートやマンションを建てるとは考え難い。ただし、南側に建物が建っている敷地を購入検討する時には、現在が2階建ての建物でも、建て替え時3階建ての建物を建てる可能性もあるので注意が必要。南側に建物が建っている敷地でも、用途地域が第1種低層住居専用地域なら用途地域の中で一番厳しい高さ制限(北側斜線制限)が課せられるので3階建ての建物を建てる可能性は低いと言えますが、第1種低層住居専用地域以外の用途地域の場合には、比較的簡単に3階建ての建物は建てられますので、そのような土地購入を検討される場合には、住宅建築を依頼する担当設計士に相談するとよいでしょう。
(2)これだけは知っておきたい容積率のこと(建築基準法編)
容積率とは一般的には、敷地面積に対して建物の延べ床面積が何ぼなのかの割合のことを指します。例えば敷地面積が100㎡で容積率が100%となっている場合には、その敷地に建物の延べ床面積100㎡までなら建ててもいいよ、100㎡を超えて建ててはダメですよ、という規制です。住居系の用途地域だと、容積率80%とか100%、200%というのによく出くわします。
(3)これだけは知っておきたい建ぺい率のこと(建築基準法編)
建ぺい率とは建築面積が敷地面積に占める割合のことを言いますが、これだけでは何を言っているのかわかりませんよね。下に建ぺい率とは何かを感覚的に分かるように図で表示してみましょう。
容積率とは一般的には、敷地面積に対して建物の延べ床面積が何ぼなのかの割合のことを指します。例えば敷地面積が100㎡で容積率が100%となっている場合には、その敷地に建物の延べ床面積100㎡までなら建ててもいいよ、100㎡を超えて建ててはダメですよ、という規制です。住居系の用途地域だと、容積率80%とか100%、200%というのによく出くわします。
(3)これだけは知っておきたい建ぺい率のこと(建築基準法編)
建ぺい率とは建築面積が敷地面積に占める割合のことを言いますが、これだけでは何を言っているのかわかりませんよね。下に建ぺい率とは何かを感覚的に分かるように図で表示してみましょう。
建ぺい率の図
左図は敷地に建物を配置して、2階平面図で見た状態です。敷地面積は10m×10mで100㎡になっています。例えば、この敷地の建ぺい率の限度が50%だったとすると、100㎡の敷地面積に対して50㎡までの建築面積なら建ててもいいよとなります。じゃあ建築面積とは何のこと?となりますが、平たく言えば建物を上から見たときの面積、ということになります。左図の場合には2階床面積が29.81㎡で1階にかかっている屋根の面積は4.35㎡なので、この建物の建築面積は、29.81㎡+4.35㎡=34.16㎡となります。左図の建物が敷地面積に占める建ぺい率は、100㎡の敷地に対して建築面積34.16㎡なので34.16%となります。建ぺい率の限度が50%だったとすると、この建物の建ぺい率は34.16%なので、建ててもいいよ、となります。
建ぺい率に関する補足解説
外壁の柱の中心線から1m以上出ている屋根は、1m以上出た屋根面積分が、建築面積として加算されます。また2階に外壁から持ち出したバルコニーが取り付く場合にもバルコニーの仕様や設置位置により建築面積に加算される場合があります。しかし、建ぺい率に関する細々としたきまり事の検討確認は、住宅建築を担当する設計士にまかせるとよいでしょう。
建ぺい率に関する補足解説
外壁の柱の中心線から1m以上出ている屋根は、1m以上出た屋根面積分が、建築面積として加算されます。また2階に外壁から持ち出したバルコニーが取り付く場合にもバルコニーの仕様や設置位置により建築面積に加算される場合があります。しかし、建ぺい率に関する細々としたきまり事の検討確認は、住宅建築を担当する設計士にまかせるとよいでしょう。
(4)これだけは知っておきたい防火指定地域のこと(建築基準法編)
建物の耐火性能を一定以上に保ち、火災時における延焼を防止するために定められた法律です。規制を受ける部位は、主に屋根、外壁、開口部(アルミサッシなどが付く窓)です。規制を受ける範囲は隣地境界線及び道路中心線から、1階が3mにかかる建物部分、2階が5mにかかる建物部分です。防火指定地域の種類は、防火地域、準防火地域、防火指定なし地域の3種類で、一番厳しい規制を受けるのが防火地域、次に準防火地域、防火指定なし地域の順になります。
これから土地購入を考えている方や既に土地を所有している方は、自分の敷地が防火指定を受けている地域か防火指定のない地域かにより建築費用が大きく変わってくるとしたら、気になると思いますが、実際、防火指定の有無により建物の建築費用が大きく変わってきます。
一番、建築費用が嵩むのが防火地域で防火指定なし地域と比較すると、外壁と開口部(アルミサッシなどが付く窓)、内装の壁、床、天井の仕様を一定以上の耐火性能がある材料としなければならず、木造2階建ての30坪程度の家を建てるとして、おおよそ250万円以上建築費用が嵩みます。
次に建築費用が嵩むのが準防火地域ですが、こちらは防火地域と比較すると規制の程度がはるかに緩く、木造2階建ての建物(木造3階建ては話がまた別)を建てるとして、防火指定なし地域と比較しても、耐火性能の仕様をアップしなければならないのは主に開口部(アルミサッシなどが付く窓)ぐらいで、30坪程度の建物で建築費用のプラス金額は40万円前後といった感じです。
防火指定地域に関する補足解説
弊社が請け負った建物のうち、防火地域に建てた建物は数件しかなく、準防火地域か防火指定なし地域に建てた建物がほとんどです。準防火地域に建てた建物と防火指定なし地域に建てた建物の割合は、準防火地域7に対し防火指定なし地域3といったところでしょうか。
(5)これだけは知っておきたい「第1種低層住居専用地域」と「第2種低層住居専用地域」の北側斜線制限のこと(建築基準法編)
用途地域のところでも触れましたが、第1種低層住居専用地域と第2種低層住居専用地域には最も厳しい高さ規制が課せられています。北側斜線制限とは、建物を建てる敷地の真北方向の隣地境界線、又は真北方向に道路がある場合には道路の端から仮想線が引かれ、その仮想線に屋根や建物が当たってはならない、という規制です。しかし、真北方向に道路がある場合には北側斜線制限の他に道路斜線制限という高さ規制もあり、その場合には厳しいほうの仮想線を適用せよ、ということになっています。北側斜線制限と道路斜線制限の両方ともクリアーしなければならない時は、(下図参照)ほとんどの場合道路斜線制限のほうが厳しくなるので、実際には道路斜線制限だけクリアーすればOKということになります。
建物の耐火性能を一定以上に保ち、火災時における延焼を防止するために定められた法律です。規制を受ける部位は、主に屋根、外壁、開口部(アルミサッシなどが付く窓)です。規制を受ける範囲は隣地境界線及び道路中心線から、1階が3mにかかる建物部分、2階が5mにかかる建物部分です。防火指定地域の種類は、防火地域、準防火地域、防火指定なし地域の3種類で、一番厳しい規制を受けるのが防火地域、次に準防火地域、防火指定なし地域の順になります。
これから土地購入を考えている方や既に土地を所有している方は、自分の敷地が防火指定を受けている地域か防火指定のない地域かにより建築費用が大きく変わってくるとしたら、気になると思いますが、実際、防火指定の有無により建物の建築費用が大きく変わってきます。
一番、建築費用が嵩むのが防火地域で防火指定なし地域と比較すると、外壁と開口部(アルミサッシなどが付く窓)、内装の壁、床、天井の仕様を一定以上の耐火性能がある材料としなければならず、木造2階建ての30坪程度の家を建てるとして、おおよそ250万円以上建築費用が嵩みます。
次に建築費用が嵩むのが準防火地域ですが、こちらは防火地域と比較すると規制の程度がはるかに緩く、木造2階建ての建物(木造3階建ては話がまた別)を建てるとして、防火指定なし地域と比較しても、耐火性能の仕様をアップしなければならないのは主に開口部(アルミサッシなどが付く窓)ぐらいで、30坪程度の建物で建築費用のプラス金額は40万円前後といった感じです。
防火指定地域に関する補足解説
弊社が請け負った建物のうち、防火地域に建てた建物は数件しかなく、準防火地域か防火指定なし地域に建てた建物がほとんどです。準防火地域に建てた建物と防火指定なし地域に建てた建物の割合は、準防火地域7に対し防火指定なし地域3といったところでしょうか。
(5)これだけは知っておきたい「第1種低層住居専用地域」と「第2種低層住居専用地域」の北側斜線制限のこと(建築基準法編)
用途地域のところでも触れましたが、第1種低層住居専用地域と第2種低層住居専用地域には最も厳しい高さ規制が課せられています。北側斜線制限とは、建物を建てる敷地の真北方向の隣地境界線、又は真北方向に道路がある場合には道路の端から仮想線が引かれ、その仮想線に屋根や建物が当たってはならない、という規制です。しかし、真北方向に道路がある場合には北側斜線制限の他に道路斜線制限という高さ規制もあり、その場合には厳しいほうの仮想線を適用せよ、ということになっています。北側斜線制限と道路斜線制限の両方ともクリアーしなければならない時は、(下図参照)ほとんどの場合道路斜線制限のほうが厳しくなるので、実際には道路斜線制限だけクリアーすればOKということになります。
(6)これだけは知っておきたい住居系地域の道路斜線制限のこと(建築基準法編)
道路斜線制限とは前面道路の反対側の境界線から一定の勾配で線(仮想線)を出し、この仮想線に建物や建物の屋根などが当たってはいけない、という規制です。道路斜線制限には様々な緩和規定があるのですが、ここでは建築物を道路境界線からセットバックさせた場合の緩和規定と、道路と敷地に高低差がある場合の緩和規定について解説していきます。
住居系地域における一般的な道路斜線は、敷地と接する前面道路の反対側の境界線から1に対し1.25の勾配で線(仮想線)を出し、この仮想線に建物の各部(外壁、屋根、軒樋等)があたらないようにします。(下図参照)
道路斜線制限とは前面道路の反対側の境界線から一定の勾配で線(仮想線)を出し、この仮想線に建物や建物の屋根などが当たってはいけない、という規制です。道路斜線制限には様々な緩和規定があるのですが、ここでは建築物を道路境界線からセットバックさせた場合の緩和規定と、道路と敷地に高低差がある場合の緩和規定について解説していきます。
住居系地域における一般的な道路斜線は、敷地と接する前面道路の反対側の境界線から1に対し1.25の勾配で線(仮想線)を出し、この仮想線に建物の各部(外壁、屋根、軒樋等)があたらないようにします。(下図参照)
建築物を道路境界線からセットバックさせ道路斜線の緩和規定を使う場合は、建物の外壁、屋根、軒樋等のうち一番道路側に近い場所の道路境界線までの(道路に対して90度の)水平線が緩和寸法に使われます。例えば下図のような場合には、屋根の端が道路側に一番近い部分なので、この部分から道路境界線までの水平寸法が緩和寸法(下図では1300㎜)として使われます。下図では道路幅員4200㎜となっていますが、緩和寸法1300㎜を道路幅員4200㎜に足して、道路幅員5500㎜として道路斜線の仮想線を出すことができます。
道路と敷地に高低差がある場合で敷地が道路より1m以上高い場合には、その高低差から1mを引き残りの高低差分の1/2だけ道路面が高い位置にあるとみなす、という道路斜線の緩和規定を使うことができます。例えば、道路から敷地が2000㎜高い位置にあった場合この緩和規定を使うと、2000㎜-1000㎜÷2=500㎜となり、実際の道路との高低差2000㎜-500㎜=1500㎜となり、道路との高低差1500㎜として道路斜線の仮想線を出すことができます。(下図参照)
「住宅設計いろは教室」 家の構造強度編
これだけは知っておきたい家の構造強度の「あれこれ」
(1)これだけは知っておきたい耐力壁のこと(家の構造強度編)
耐力壁とは地震力や台風力に抵抗する、家の構造強度の要となる壁のことを指します。耐力壁の作り方は、木造やRC造、鉄骨造などでそれぞれ違うのですが、ここでは木造の耐力壁について解説していきます。木造では、構造用合板を柱や梁などに構造用専用釘で一定の間隔で留めつけて耐力壁とする場合と、スジカイといって柱と柱の間に斜めの木材を設置して耐力壁とする場合、構造用合板とスジカイを併用して耐力壁とする場合の(主に)3種類の耐力壁の作り方があります。どの種類の耐力壁を採用する場合にも、柱のホゾが土台や梁から抜け出ないように構造専用金物を使い耐力壁の区画ごとに柱と土台、柱と梁に構造金物を留め付けます。
地震力や台風力に抵抗し、家の倒壊を防いでくれるのが耐力壁なのですが、自然災害時に耐力壁にしっかり働いてもらうためには、下記に示す設計上のいくつかのポイントがあります。
耐力壁にしっかり働いてもらう為のポイント①
必要数量分の耐力壁があること。ここで言う必要数量とは、建築基準法で定められている耐力壁の必要数量以上ということですが、昨今、日本のあちこちで発生する大地震のことを考えると、建築基準法で定められている数量の5割増以上の数量を確保していおいたほうが好ましいと言えます。
耐力壁にしっかり働いてもらう為のポイント②
家全体に耐力壁がバランスよく配置されていること。バランスよく耐力壁を配置するとは、感覚的に言えば、南側の外壁に3m~4m分の耐力壁を配置したら北側の外壁にも3m~4m分の耐力壁を配置し、家の中心に近い場所にも耐力壁を配置する、といった感じです。
耐力壁にしっかり働いてもらう為のポイント③
1階と2階の耐力壁の位置をなるべく揃えること。これは1階と2階で同位置に耐力壁があるときが一番、地震力や台風力によく抵抗する耐力壁となるためです(1階2階で耐力壁の位置が揃っていると力の伝達がスムースになる)。
耐力壁にしっかり働いてもらう為のポイント④
水平方向のねじれ、ゆがみを防止すること。スジカイなどで作る耐力壁は垂直方向の区画となりますが、床などの水平方向の区画がグニャグニャするようでは、耐力壁がよく働かなくとなるいうよりは、働けなくなってしまうので、水平区画も火打梁といった斜材や剛床といって構造用合板等を使いねじれとゆがみを防止します。
(2)これだけは知っておきたい効きの良いスジカイと効きの悪いスジカイのこと(家の構造強度編)
スジカイを入れる耐力壁区画の土台~2階梁、2階梁~小屋梁の垂直距離によりスジカイの効き具合が変わってきます。比較的、垂直距離の長い耐力壁区画のスジカイの効きは悪く、垂直距離の短い耐力壁区画のスジカイの効きは良くなります。これは、極端に天井高の高い家のスジカイは(家が完成したら見えませんが)効きが悪いと言い換えることもできます。(下図参照)
(1)これだけは知っておきたい耐力壁のこと(家の構造強度編)
耐力壁とは地震力や台風力に抵抗する、家の構造強度の要となる壁のことを指します。耐力壁の作り方は、木造やRC造、鉄骨造などでそれぞれ違うのですが、ここでは木造の耐力壁について解説していきます。木造では、構造用合板を柱や梁などに構造用専用釘で一定の間隔で留めつけて耐力壁とする場合と、スジカイといって柱と柱の間に斜めの木材を設置して耐力壁とする場合、構造用合板とスジカイを併用して耐力壁とする場合の(主に)3種類の耐力壁の作り方があります。どの種類の耐力壁を採用する場合にも、柱のホゾが土台や梁から抜け出ないように構造専用金物を使い耐力壁の区画ごとに柱と土台、柱と梁に構造金物を留め付けます。
地震力や台風力に抵抗し、家の倒壊を防いでくれるのが耐力壁なのですが、自然災害時に耐力壁にしっかり働いてもらうためには、下記に示す設計上のいくつかのポイントがあります。
耐力壁にしっかり働いてもらう為のポイント①
必要数量分の耐力壁があること。ここで言う必要数量とは、建築基準法で定められている耐力壁の必要数量以上ということですが、昨今、日本のあちこちで発生する大地震のことを考えると、建築基準法で定められている数量の5割増以上の数量を確保していおいたほうが好ましいと言えます。
耐力壁にしっかり働いてもらう為のポイント②
家全体に耐力壁がバランスよく配置されていること。バランスよく耐力壁を配置するとは、感覚的に言えば、南側の外壁に3m~4m分の耐力壁を配置したら北側の外壁にも3m~4m分の耐力壁を配置し、家の中心に近い場所にも耐力壁を配置する、といった感じです。
耐力壁にしっかり働いてもらう為のポイント③
1階と2階の耐力壁の位置をなるべく揃えること。これは1階と2階で同位置に耐力壁があるときが一番、地震力や台風力によく抵抗する耐力壁となるためです(1階2階で耐力壁の位置が揃っていると力の伝達がスムースになる)。
耐力壁にしっかり働いてもらう為のポイント④
水平方向のねじれ、ゆがみを防止すること。スジカイなどで作る耐力壁は垂直方向の区画となりますが、床などの水平方向の区画がグニャグニャするようでは、耐力壁がよく働かなくとなるいうよりは、働けなくなってしまうので、水平区画も火打梁といった斜材や剛床といって構造用合板等を使いねじれとゆがみを防止します。
(2)これだけは知っておきたい効きの良いスジカイと効きの悪いスジカイのこと(家の構造強度編)
スジカイを入れる耐力壁区画の土台~2階梁、2階梁~小屋梁の垂直距離によりスジカイの効き具合が変わってきます。比較的、垂直距離の長い耐力壁区画のスジカイの効きは悪く、垂直距離の短い耐力壁区画のスジカイの効きは良くなります。これは、極端に天井高の高い家のスジカイは(家が完成したら見えませんが)効きが悪いと言い換えることもできます。(下図参照)
コラム・住宅設計のプロから見た間取り設計と構造設計
家づくりの設計打ち合わせを、住宅設計を生業としている設計士が担当する場合、依頼主の要望を聞きながら間取り設計と構造設計を同時進行で行うので、間取り設計だけが優先されてしまい間取りと構造のバランスがとれない、といった初歩的ミスはおきないのですが、あまり家の構造のことを勉強されてない方が担当された場合、(おそらく仕事欲しさを優先するあまり)間取りと構造のバランスがとれていない図面をよく見かけます。
「お客さんの言う通りに書いた図面だから」それでいいということらしいのですが、これでは住宅供給を担う職能人としてはあまりにもお粗末と言わざるを得ません。少なくとも住宅の建築を依頼される依頼主よりも、知識なり、技能なりの経験値の蓄積があるはずですから、その蓄積を惜しみなく依頼主のために役立てなければいけない、という義務があります。
依頼主の要望をちゃんと聞き、それを間取り図なりに反映させることはとても大切なことですが、「お客さんの言う通りに書いた図面だから」それで良いということにはなりません。もし、あなたの家づくりの設計打ち合わせの担当者が、ただ投げかけられた要望をそのまま受け取り、何の提案や意見のやりとり(職能人としてのプロのアドバイス)がなく、本当にただ依頼主に言われるがままの設計図面を提出するようでしたら、それはもう依頼主の利益のことは考えてはおらず、仕事欲しさだけが優先している、と疑ったほうがいいことになります。
家づくりの設計打ち合わせを、住宅設計を生業としている設計士が担当する場合、依頼主の要望を聞きながら間取り設計と構造設計を同時進行で行うので、間取り設計だけが優先されてしまい間取りと構造のバランスがとれない、といった初歩的ミスはおきないのですが、あまり家の構造のことを勉強されてない方が担当された場合、(おそらく仕事欲しさを優先するあまり)間取りと構造のバランスがとれていない図面をよく見かけます。
「お客さんの言う通りに書いた図面だから」それでいいということらしいのですが、これでは住宅供給を担う職能人としてはあまりにもお粗末と言わざるを得ません。少なくとも住宅の建築を依頼される依頼主よりも、知識なり、技能なりの経験値の蓄積があるはずですから、その蓄積を惜しみなく依頼主のために役立てなければいけない、という義務があります。
依頼主の要望をちゃんと聞き、それを間取り図なりに反映させることはとても大切なことですが、「お客さんの言う通りに書いた図面だから」それで良いということにはなりません。もし、あなたの家づくりの設計打ち合わせの担当者が、ただ投げかけられた要望をそのまま受け取り、何の提案や意見のやりとり(職能人としてのプロのアドバイス)がなく、本当にただ依頼主に言われるがままの設計図面を提出するようでしたら、それはもう依頼主の利益のことは考えてはおらず、仕事欲しさだけが優先している、と疑ったほうがいいことになります。
「住宅設計いろは教室」 設計術のいろは編
これだけは知っておきたい設計術のあれこれ
(1)これだけは知っておきたい平面モジュールのこと(設計術のいろは編)
平面モジュールとは、平面図を書くときに使われる基本寸法のことで、木造住宅だと一般的に910㎜というモジュール寸法を基本にしています。間取り図の下書きをする時には910㎜という実寸法を100分の1にしたマス目(1マス9.1㎜)が入った用紙を使います。この用紙は方眼紙という名称で市販品としても販売されています。100分の1の方眼紙の1マスは9.1㎜角ですが、9.1㎜角のマス目は半畳の大きさにあたります。1マス×2マス(9.1㎜×18.2㎜)は1畳の大きさになります。
(2)これだけは知っておきたい平面モジュールを使った寸法感覚のこと(設計術のいろは編)
方眼紙9.1㎜角のマス目は半畳の大きさ、方眼紙1マス×2マスは1畳の大きさと言いましたが、ここでは寸法感覚をつかんでもらうために、階段及びトイレ、浴室、キッチンなどが100分の1の方眼紙で何マス必要か述べていきます(下図参照)。トイレ配置に必要なマス目は1マス×2マスでトイレ配置に必要な最小マス目は1マス×1.5マスです。浴室は1坪の大きさが2マス×2マス、0.75坪の大きさが2マス×1.5マス、I型キッチンを配置するのに必要なマス目は1マス×3マス、直階段が1マス×3マス、箱型階段が2マス×2マスです。
※下図の910と表示されている寸法が1マスです(910が2つで2マス、910が3つで3マスと読み変えます)。
(1)これだけは知っておきたい平面モジュールのこと(設計術のいろは編)
平面モジュールとは、平面図を書くときに使われる基本寸法のことで、木造住宅だと一般的に910㎜というモジュール寸法を基本にしています。間取り図の下書きをする時には910㎜という実寸法を100分の1にしたマス目(1マス9.1㎜)が入った用紙を使います。この用紙は方眼紙という名称で市販品としても販売されています。100分の1の方眼紙の1マスは9.1㎜角ですが、9.1㎜角のマス目は半畳の大きさにあたります。1マス×2マス(9.1㎜×18.2㎜)は1畳の大きさになります。
(2)これだけは知っておきたい平面モジュールを使った寸法感覚のこと(設計術のいろは編)
方眼紙9.1㎜角のマス目は半畳の大きさ、方眼紙1マス×2マスは1畳の大きさと言いましたが、ここでは寸法感覚をつかんでもらうために、階段及びトイレ、浴室、キッチンなどが100分の1の方眼紙で何マス必要か述べていきます(下図参照)。トイレ配置に必要なマス目は1マス×2マスでトイレ配置に必要な最小マス目は1マス×1.5マスです。浴室は1坪の大きさが2マス×2マス、0.75坪の大きさが2マス×1.5マス、I型キッチンを配置するのに必要なマス目は1マス×3マス、直階段が1マス×3マス、箱型階段が2マス×2マスです。
※下図の910と表示されている寸法が1マスです(910が2つで2マス、910が3つで3マスと読み変えます)。
(3)これだけは知っておきたい家のボリューム感覚のこと(設計術のいろは編)
一般的によく使われる坪数表現で、方眼紙のマス目をどれくらい使った家が何坪になるのかを述べていきます。先ほど1畳はマス目1マス×2マスと述べましたが、2畳分のマス目、2マス×2マスが1坪のボリュームにあたります。ちなみに2マスの長さは実寸法で言うと1820㎜(910㎜×2)になりますがこの長さが一間にあたり、京都の三十三間堂などは66マス分(実寸法約60m)の長さがあることになります。
夫婦2人、子供2人の4人家族が住める最小坪数は、設計的な様々な工夫を凝らすとして18坪前後からで、平均的には26坪~30坪のあいだといった感じです。
下図のプランは9坪ハウスと呼んでいるプランで、3間×3間をベースに考えられたプランです。ちょっと判読しづらいかも知れませんが、寸法1820の横に(1間)と書かれていますが1間はイッケンと読みます。1間が縦横3つ並んでいるのでこの建物のベースの大きさは3間×3間=9坪です。3間×3間は方眼紙のマス目数に換算すると6マス×6マスになります。
下図のプランの建物ベースの大きさは、横3間×縦4間=12坪です。このプランでは(1階から突き出したかたちでの)下屋根に玄関や浴室等を配置しておらず、1階と2階の位置と床面積が同じで総2階建てとなっているので、建物の延べ床面積は1階12坪+2階12坪=24坪のボリュームの建物となっています。建物ベースの大きさ横3間×縦4間を方眼紙のマス目数に換算すると、横6マス×縦8マスになります。
下図のプランの建物ベースの大きさは、横3間×縦4間=12坪です。建物ベースの大きさは上図のプランと同じですが、下図のプランでは下屋根内に玄関と洗面脱衣所、浴室を配置していますので1階床面積の合計は建物ベース12坪+下屋根分面積2.5坪=14.5坪になっています。建物ベースの大きさ横3間×縦4間を方眼紙のマス目数に換算すると、横6マス×縦8マスになります。
家のボリューム感覚をつかむためのワンポイントアドバイス
市販品で販売されている方眼紙を手に入れたら、例えばマス目8マス×6マスは(4間×3間=12坪)12坪のボリュームになり、8マス×6マスのボリュームで総2階建てで計画する場合には延べ坪数24坪のボリュームの家になると、感覚感をつかむようにする。同じく8マス×8マスは(4間×4間=16坪)16坪のボリュームになり総2階建てで計画すると32坪になると、下書きの初めに感覚をつかんでおくようにするとよい。
「住宅設計いろは教室」 あなたの家がグンと良くなる間取り設計編
これだけは知っておきたい間取り設計の「あれこれ」
(1)これだけは知っておきたい間取り設計の押え所「パブリック空間は広く広く」(あなたの家がグンと良くなる間取り設計編)
パブリック空間とはダイニングも含め居間、リビングといった家の中で家族みんなが集まる共有空間のことです。ここでは、食事をしたり、テレビを見たり、家族同士の会話があったり、ゲームをしたり、ソファーでくつろいだり等々といった、様々な日常シーンが展開され家の中でも最も広い面積が必要となります。また家族みんなが集まる共有空間ですから、一人一人の居場所が確保されていると同時に、そこに居て気持ちよくつろげるようにする配慮も必要になります。
一人一人の居場所を確保する為に取り敢えず広い面積を確保した上で、そこに様々なアイデア、工夫を盛り込んで行きます。
例えばパソコンの使用頻度が多いという場合には、リビングかダイニングの一画にパソコンコーナーを造ったり。ご主人の趣味が釣りであれば、釣ってきた魚の魚拓を飾れる、魚拓ギャラリー用の専用コーナー、専用壁を造ってみたり。うちの子は主人も含め食べた後すぐゴロゴロ寝たがる、といった場合には畳のごろ寝コーナーを造ってみたり等々といった、その家族一人一人のライフスタイルや趣味嗜好に合わせて様々な居場所を盛り込んでいきます。
(1)これだけは知っておきたい間取り設計の押え所「パブリック空間は広く広く」(あなたの家がグンと良くなる間取り設計編)
パブリック空間とはダイニングも含め居間、リビングといった家の中で家族みんなが集まる共有空間のことです。ここでは、食事をしたり、テレビを見たり、家族同士の会話があったり、ゲームをしたり、ソファーでくつろいだり等々といった、様々な日常シーンが展開され家の中でも最も広い面積が必要となります。また家族みんなが集まる共有空間ですから、一人一人の居場所が確保されていると同時に、そこに居て気持ちよくつろげるようにする配慮も必要になります。
一人一人の居場所を確保する為に取り敢えず広い面積を確保した上で、そこに様々なアイデア、工夫を盛り込んで行きます。
例えばパソコンの使用頻度が多いという場合には、リビングかダイニングの一画にパソコンコーナーを造ったり。ご主人の趣味が釣りであれば、釣ってきた魚の魚拓を飾れる、魚拓ギャラリー用の専用コーナー、専用壁を造ってみたり。うちの子は主人も含め食べた後すぐゴロゴロ寝たがる、といった場合には畳のごろ寝コーナーを造ってみたり等々といった、その家族一人一人のライフスタイルや趣味嗜好に合わせて様々な居場所を盛り込んでいきます。
(2)これだけは知っておきたい間取り設計の押え所
パブリック空間は広く広くその2「パブリック空間に対角線上に見通せる場所をつくる」(あなたの家がグンと良くなる間取り設計編)
リビングとダイニング、場合によってはキッチンも含めた空間に、対角線上に見通せる場所を間取り設計に盛り込みます。対角線上に見通せる場所をつくると、実際の坪数以上の広々感を堪能することができ、気持ちのいい空間づくりに役立てることができます。
パブリック空間は広く広くその2「パブリック空間に対角線上に見通せる場所をつくる」(あなたの家がグンと良くなる間取り設計編)
リビングとダイニング、場合によってはキッチンも含めた空間に、対角線上に見通せる場所を間取り設計に盛り込みます。対角線上に見通せる場所をつくると、実際の坪数以上の広々感を堪能することができ、気持ちのいい空間づくりに役立てることができます。
(3)これだけは知っておきたい間取り設計の押え所「天井高に変化を持たせる」(あなたの家がグンと良くなる間取り設計編)
家の中で天井高が高い場所と低い場所を混在させると、空間に変化が生じ豊穣さが増します。天井高に高低差を持たせる具体的な手法としては、あるコーナー(例えば畳ベンチやワークコーナーとか)の天井高を下げる、畳ベンチや畳ベンチダイニングの床設定高を30cm~40cm上げる、1階から2階まで吹き抜けた吹き抜け空間を盛り込む、といったような方法があります。
家の中で天井高が高い場所と低い場所を混在させると、空間に変化が生じ豊穣さが増します。天井高に高低差を持たせる具体的な手法としては、あるコーナー(例えば畳ベンチやワークコーナーとか)の天井高を下げる、畳ベンチや畳ベンチダイニングの床設定高を30cm~40cm上げる、1階から2階まで吹き抜けた吹き抜け空間を盛り込む、といったような方法があります。
(4)④これだけは知っておきたい間取り設計の押え所「南北通風は必ずとる」(あなたの家がグンとよくなる間取り設計編)
兼好法師は徒然草のなかで、「家のつくりようは夏をもって旨とすべし」と言っていますが、それだけ日本の夏はジメジメと暑いのです。近年ではエアコンがどの家庭にも普及し、「暑い夏にはエアコンで涼しくすればいいじゃないか」という話ももちろんありですが、それだけではおもしろ味が欠けます。そこで、風が吹いているときには、家の中に風の通り道をつくっておいて、通風による涼を採れるようにしておこう、ということなのです。窓辺に風鈴をつり、風が通ると「り~ん、り~ん」と聴こえる。実に風流で粋ではないでしょうか。
夏、南北通風で涼を採るためには北と南に大きめの窓(出来れば掃き出し窓)を設けとけばだいたいOKです。風が吹いていれば外気温30度くらいまでなら余裕を持って暑さをしのぐことが出来ます。外気温33度とかになるとちょっときつくなってきますので、そういう時は無理せずエアコンをつけるとよいかと思います。
エアコンの光熱費もバカになりませんので、風があるときには通風で涼を採る、という暮らし方は家計にやさしい暮らしと言えます。
夏の南北通風に関する補足事項
夏の直射日光があたる場所(夏の真昼の太陽光角度はおおよそ70度、ほぼ真上から直射日光があたります)には、コンクリートなどを打たないことをおすすめします。コンクリートは熱を吸収し後から放熱する性質があるため、例えば南面に駐車場を造り、全面コンクリート打ちにした場合、夕方から夜にかけコンクリート面から昼間吸収した熱を放熱しますので、せっかく南北通風を得るための窓を設置しても涼を得る効果が半減してしまいます。どうしても駐車場をコンクリート打ちにする場合には、コンクリートを打つ面積を最小限にしましょう。
(5)これだけは知っておきたい間取り設計の押え所
「家の中からも見える位置に樹木を植える」(あなたの家がグンと良くなる間取り設計編)
家の中からも見える位置に、やや大ぶりの落葉広葉樹(ハナミズキや姫シャラ、モクレン、カエデ、モミジ、桜等々)を植えると、家に居ながら四季の移ろいを感じることができ、日常生活に自然の営みの豊かさを採り入れることができます。
「家の中からも見える位置に樹木を植える」(あなたの家がグンと良くなる間取り設計編)
家の中からも見える位置に、やや大ぶりの落葉広葉樹(ハナミズキや姫シャラ、モクレン、カエデ、モミジ、桜等々)を植えると、家に居ながら四季の移ろいを感じることができ、日常生活に自然の営みの豊かさを採り入れることができます。